〔アメリカ合衆国〕

アメリカの文化

　極端なことをいうなら、日本国内勤務であっても、アメリカの企業などと接触する仕事であれば、文化の違いによる思わぬトラブルを避けるためにアメリカ文化を知っておくことが不可欠です。

　このページでは、あらゆる意味でアメリカ生まれのネイティブアメリカ人と接触する可能性がある人のために、アメリカ特有な文化や国民性を紹介していきます。アメリカ人と接することになる全ての人々の参考になればと願っています。

　私たちはおよそ誰でも「井の中の蛙」、自分自身が生まれ育ってきた故郷を何よりも大事に思うものである。そのことは紛れもなく忘れてはならない。しかし、異文化に接することにより人は成長することも事実です。

　アメリカに限らず、日本を飛び出し自分一人が異文化の中に入ると、そこでの暗黙の習わしや生活習慣にとまどい、苦労が付きまとうものです。

　とはいえ「ものは考えよう」、自分のもつ文化と異文化との「違い」を体験できることは人生にとって貴重な価値となる。違いを積極的に受け止め、理解を深め、楽しむことで自身を大きく成長させる糧になるでしょう。

アメリカ文化の特徴

　アメリカ文化の最も重要な特徴は、次のようなことに起因しているものと考えられる。アメリカでは、下に示すような特徴があり、ときに力を合わせ、ときに矛盾しながら共存しているのである。

　・アメリカは多民族国家である。
　・アメリカは自由平等・自由競争の世界である。
　・アメリカでは白人が絶大な力を持っている。
　・アメリカはキリスト教が一大勢力を誇っている。
　・アメリカは巨大な国である。
　・アメリカには世界の叡智が結集している。
　・アメリカは世界一といわれるほどの貧富の差がある。

　アメリカ社会は、世界中のさまざまな文化圏の人々が暮らす多民族国家であり、「人種の坩堝（るつぼ）」とか「人種のサラダボール」と呼ばれています。

　ヨーロッパ系の白人や南米系移民、かつての奴隷制度時代にアフリカから連れてこられた人々の子孫たち、最近ではアジアからの移民、そしてごく少数ではあってももともとアメリカ大陸で暮らしていた人達（アメリカインディアン）の子孫たちが混じり合って暮らしています。

　アメリカは多民族国家であるため、日本のようなほぼ一つの民族だけでできている国歌とことなる特徴がある。

　人々は、自由や平等を最も尊重し、自己主張が強く、自分の権利や意見を強烈に主張します。さりとて、多民族国家という背景を認識していて、それぞれの民族の文化的違いを尊重する気持ちを持ち、各人の個性を重んじることは忘れていません。

　一般に社交的でフレンドリーで感情表現も豊かです。それでも内心では、競争心が高く負けず嫌いな人が多いです。

　現時点ではいわゆる白人が多数を占め、絶対的な力を誇っているけれど、やがてその他の少数民族の割合が大きくなり、50年後には様相が変わるとも言われています。

　人種が多いことは、それに伴いさまざまな宗教があることも意味しています。アメリカ国内では極端な宗教対立は少ないものの、人々は宗教によってコミュニティをつくり結束していることも事実です。現時点では、キリスト教が絶大な力を持っています。

　日本のような隣組的組織活動はなく、人が集まるのは同じ宗教を信仰するグループの場合が多いです。

　日本人からみたとき、アメリカが巨大な国であることに畏怖を感じます。自国内に何でもあることが大きな力の源泉でもあるからです。

　現在では同じように巨大な面積を持つ中国やロシアが勢力を伸ばしており、アメリカとの覇権競争が激しさを増しています。この点については、アメリカ人たちの一種の焦りも感じられます。

　遠い将来には、インドがこの覇権競争に加わると見られていますが、それは数十年は先のこととなるでしょう。

　アメリカの最も偉大は力は、世界の叡智を終結していることです。これはノーベル賞受賞者の人数をみれば明らかです。

　アメリカの膨大な富が、世界の優秀な人材を集めているのです。最近では中国がいわゆる「千人計画」なるものを駆使して、金の力と魅力で世界の頭脳を漁っているので、アメリカは警戒の念を強めています。

　世界中どの国にも極端に富める少数の人がいれば、反対にどん底生活を余儀なくしている多数の人達がいます。アメリカでの貧富の差は世界一でとても大きいとされ、これもアメリカを象徴する特徴となっています。

アメリカの言葉や宗教

　日本人なら誰でも、アメリカといえば英語を話す国と考えますが、アメリカには日本のような「標準語」と呼ばれる法定の公用語はありません。しかし、アメリカ人の90%以上は英語を使用している現実があり、英語が事実上の公用語となっています。

　このため、企業などで使用されるビジネス用言語としては、英語が一般的に使われています。ちなみに、アメリカ国内で使用されている言語の種類は、細かく分類すれば300種類以上もある言われています。

　アメリカ人の半数弱の人々はキリスト教のプロテスタント系宗派に属しています。その他のキリスト教宗派に属する人々も多く、これら全部を合わせると、アメリカ人の約70%がキリスト教徒となっています。

　このように国民の約7割がキリスト教徒であることから、アメリカの文化はその影響を受ける場面が多いことは事実です。

　アメリカの初期にヨーロッパから入植してきた人々の中で、宗教弾圧を避けてアメリカに渡ってきた清教徒が多かったことが、プロテスタント系宗派が多い理由となっています。

　多民族国家の特徴として、アメリカで暮らす人達は人種毎に居住エリアを分けている場合が多い。中国系や韓国系、あるいは中南米系の人たちは一種のまとまった街を形成していることがある。

　日本人は同じ居住エリアにまとまって住むことはあまり多くはないが、それでも日本人が比較的多く住む地域では、日本食レストランがあったり、日本雑貨や日本食などを重点的に扱う店がある。

　白人を主体とするコミュニティに住む人たちは、ほとんどキリスト教徒であり、クリスマスシーズンにはどの家も煌びやかなクリスマスツリーを庭いっぱいに飾る風習がある。日本人はキリスト教徒などではないが、花やから風景を楽しむために、車で見学にでかけたりする。

　一方、イスラム系の人たちの住むエリアでは、当然のことながらクリスマスシーズンといえども普段と変わらず夜には暗闇が広がるだけの風景となる。